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2021.07.31 09:41

定板

 気仙大工伝承館に、大工が墨差しで書いた構造図面が展示されていました。現代的には伏図と呼ばれるキャドで紙に書かれているものですが、昔は木の板に墨付け大工棟梁が指図を含めて書き込んだものです。この「昔は・・・」と云う言葉がやたらと多くなりました。古き良き時代がすべて良い訳では無いと思いますが、こうして何か一つが無くなる事で遠い先には全てに影響する事もあるほど、重要な所だったりもします。千数百年続いたものを失った無念さは時代検証されて行く時となりました。大工から板図を書く事を取り上げて設計士が伏図を書き始めると、プレカット屋がそれを受け継ぎ、木材も四角いもののみとなって外材主流の安さ速さを競争する24時間止まらない不夜城と化しCO2大量排出量産の家造りにしてしまったのが、この定板を取り上げてしまった頃が元凶です。元に戻すのは至難の業です。また、上棟式の祝詞も展示されていますが、私が毎回上棟式で奏上させて頂いている祝詞と同じでした。ここは大切に守り抜きたいと思います。