季節は秋、遠い山の向こうから不思議にも湧いて流れてくる雲が、黄金色の海原の上に広がる光景を見ながら仕事場に通う時間が増えてきました。そんな時、いせひでこさんの「空のひきだし」を読んでいます。その文中にこの詩がありました。
空は一変してどこまでも、青く高く。
盛岡の街並みを抜け広い平野を一直線に走る私は
窓の外を見て声をのんだ。
突然、空がこわれたのかと思うほどに
おびただしい量の雲の子どもたちが
青い空から湧き出てくる。次々と。
点はみるみる片になり塊になり峰になる。
生まれたばかりの新しい雲たちに
たんぼがいっせいに黄金色の波となって
声をかけては 過ぎて行く。
走っても走っても私のすぐ横に、先に、後ろに、
遠くの山並みの向こう側までみっちりと
まるで雲の学校の運動会だ。