2019年12月
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2019.12.28 10:09

二人の男

 2019年最後に読んで感動したのが、葛巻町を題材にしたノンフィクション「二人の男」です。岩手県葛巻町。千メートル級の山々に囲まれたこの僻地の町は、耕作できる土地も乏しく、寒冷な気候のためこれといった農産物もなく、人々は林業や牧畜により生計を立ててきた。ゴルフ場やスキー場といった開発の話も来ないし、温泉が出る地でもない。若者は仕事を求めて町を出て、三人に一人以上は高齢者であり、いまや人口はピーク時の半分以下に落ち込んでいます。
 町役場の畜産担当として酪農家や牧場の管理を担当していた獣医師・中村哲雄は、遠藤町長からの命により、町の生死を掛けた一大事業に挑む! そして、ミルクとワインとクリーンエネルギーの町づくりへ――
 なぜ、「考えられないほど貧乏な町」が、「考えられないほど大規模な事業」に成功したのか? 当事者への執念深い取材によって、葛巻町が再生するまでの〇か月間を明らかにした、感動のノンフィクションとの事です。
 現代はパワハラが取り沙汰されますが、そんなのも超越した生きる力と思いやりを感じる内容がちりばめられています。加えて、この大変な時代を乗り越え生き残る知恵も感じました。立場が違えども必ず役に立つ事が溢れていると思いますので、僭越ながらお薦めします。